白い巨塔2【読書】


著者:山崎豊子

お勧め度62%さげ

1巻だけを読んだ時点では、同著書の【女系家族】ほどドロドロではなかったので続けて読んでみましたが、1巻よりドロドロ度が増してしまいた。1巻では五郎が可哀そうだと、五郎に肩入れしていましたが、2巻になって失望してしまいました。そして五郎に目を覚まして欲しかった。5巻まですでに読んでしまったので言えることなのですが、この2巻の出来事が後々五郎の人生に大きく関わっていくだけに、なおその想いが強くなってしまいます。

『お医者さま』という特殊な団体の中で繰り広げられるばかしあい、牽制球、わいろの数々。ゴボゴボと笑う五郎の舅。すべてのお医者さまが大河内教授や里見助教授のような人ばかりなら問題ないのでしょうが、人間の野心は計り知れないもの。ある意味、野心や探究心というものが医学の向上にも大きく関わっていることを思うと、人間の野心が全くなくなるのも問題だと思います。要は、その野心をどこに向けるか、と言うことが肝心なんだと思う。そういう意味で、大河内教授や里見さんはその向上心を医学の発展だけに向ける素晴らしい医学者だと言えるでしょう。

対する五郎はどうか・・五郎も医学の世界に入った時は真っ直ぐに医学の向上だけに心が向いていただろうに、周りの環境が彼を変えてしまったと言えると思います。いわば、彼自身も白い巨塔と言う名の黒い波に呑まれた哀れなたましい・・そう思います。

例えば第一巻で、五郎の母が財前との養子縁組を五郎のことを想ってさっさと決めて『しまった』。事・・東教授がもっと真っ直ぐな気持ちで財前と向き合っていたら・・へたな小細工せずに素直に五郎に教授の座を任せていたら・・五郎自身がもっと強い心を持っていたら・・あらゆる理由が重なって五郎は白い巨塔の中の一番黒い部分へ押し流されてしまったのだと思います。

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赤い指【読書】


著者:東野圭吾

お勧め度67%あげ

全体的には暗い物語なのですが(まあ、明るいサスペンスというのもあまりありませんが)、この物語は暗さが際立っているといいますか、人間の薄汚れた部分が浮き出て憤りを感じてしまいました。我が子しか愛さないおろかな母親、その母を(つまり妻)の言いなりの父親、そして我がまま放題に育った子供、直己。

誰が悪かったと、考えるのも吐き気がするほど身勝手な犯罪。だけど、こういった犯罪があとを絶たないのは、前原のような家庭が氾濫しているという事なのでしょうか・・。そしてこの物語の中で異彩を放っている『加賀』。彼は父親の見舞いにも行かないような冷たい人間なのに、事件の調査に関しては人一倍鋭く、また、事件解決後の事まで心を痛めながら調査をする人物。

果たして彼はどちらが本当の姿なのか、最後の1ページでそれが分かるのですが、その時はちょっと感動してしまいました。

『赤い指』というのは、親が我が子の間違いに気がついてほしい、というメッセージだったのですが、もし、その間違いに子供が気がつかなかったら政恵はどうするつもりだったのでしょう?たぶん、これは私の想像でしかないのですが、その時は諦めて我が子の過ちを受け入れるつもりだったのでしょう。

親の愛というのは、本当に本当に深いものですね。

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悼む人【読書】


著者:天童荒太

お勧め度78%あげ


奥の深い読み物でした。静人はだた、たんに亡くなった方を悼む(いたむ)為に旅をしている訳ですが、様々な死を見るにつけ、思い悩みます。その中で一番辛いのが亡くなられた遺族の方に誤解される事だと言います。私も読み進んでいる間は(どうして静人の純粋な気持ちが理解できないんだ)、と憤りを感じましたが、読み終わって自分に問いかけてみました。

うちの母は病気で亡くなりましたが、果たして、静人が突然、我が家の前にやって来て、母の死を悼む為にやってきましたと言われたら、やはり戸惑うし、なんの宗教団体?と思うでしょう。

では、何の為に静人はそんな報われない旅を続けているのでしょうか?言い方は悪いのですけど、私はひとえ自己満足のような気がします。実際、静人自身がそうしないではいられない、という感情に突き動かされていると言っています。亡くなった方がどのような人を愛し、愛されたか、静人の心に刻むことによって、彼自身の平安を得ているのかもしれない・・。

最後に、作者は1つ1つの死の重さと同時に、最近の『なぜ…』と首をひねりたくなるような残忍な殺し、また動機、にもメッセージを送っているのかもしれないと思いました。

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白い巨塔【読書】


著者:山崎豊子

お勧め度82%

今更の、【白い巨塔】を読んでみました。まず最初に以前読んだ山崎さんの作品のことをちょっと書かせて頂きたいのですが、その作品は【女系家族】という作品で、ある商家―女性が代々商いを受け継いでいくという家系の、遺産相続をめぐっての腹のうちを探り合いを描いた、ドロドロの作品だったのですが、そのドロドロ具合がエグ過ぎ、スゴ過ぎで気分が悪くなってしまいました。

そういったことがありましたので、村上さんの時のように山崎さんの作品もあまり読みたくないなと思っていたのですが、やはり1つ、2つ作品を読んだだけで否定してしまうのはアレなんで、山崎さんの作品の中で有名なこの作品を読んでみた訳です。

内容については、私がいまさら語ることはないと思うのですが、一応軽く触れておきますと、大学付属病院の教授の座を巡っての医者同士の腹の探りあいを描いた作品で、人間の内面が鋭く描いています。お互いに『自分が有利になるためにはどうすればいいか・・』相手に気を使う『ふり』をしながら、牽制球を投げあう人間と人間のぶつかり合い。そういったことが描かれています。

女系家族にくらべ、こちらは男同士だからでしょうか、女系家族ほどのドロドロは感じられず、面白く読むことが出来ました。まあでも、まだ1巻を読み終わっただけなので、2巻、3巻となるにつれ、『うわ〜』というほどドロドロになるのかもしれませんが・・。

今のところ、私は五郎に教授になってもらいたいです。そしてこういう『出世』にまったく興味のない医学だけに生きる里見がどうなるのか、東教授の腹黒い思惑のために教授の座争いに巻き込まれた菊川はいったいどうなるのか?さらに東の一人娘、佐枝子の恋も気になるし・・早く2巻を読みたいと思います。

続きは、主な登場人物です。
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押入れのちよ【読書】


著者:荻原浩

お勧め度68%あげ

お母さまのロシアのスープ、コール、押入れのちよなど短編小説集。表紙ほど怖くありません。怖いお話は『老猫』。それ以外はどっちかというと心温まる話もあるし、考え深い話もあります。中でもタイトルと同タイトルの『押入れのちよ』のちよは疑うことを知らない幼少時に亡くなった子供で、悲しい境遇であったにもかかわらず、恨む事を知らない純粋な子供でした。

それから『コール』も、ちょっと切ないけど心温まる物語。全部を読まなくても、この2タイトルは読んでみたらどうでしょうか?
『お母さまのロシアのスープ』は有名なお話ですよね。これも切ないお話ですが、双子のソーニァとターニァがちよと一緒で純粋な心の持ち主なので救われる気がします。

・・だから逆に切なくもあるのですが・・。
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手紙【読書】


著者:東野圭吾

総評:★★★★★++A

皆さんが絶賛するだけあります。いろいろ考えちゃう事もあるし『どうして世の中、こうなんだ』って叫びたくもなるけど、やはり、それが人間なんでしょう。差別するのが人間。区別するのが人間。選り分けて、選んで、気を使う人、本心を打ち明ける人、警戒する人、軽蔑する人、愛する人、どこかで人と境界線を引くのが人間のサガ。どんなに分け隔てない人でも極端な話、自分と他人の境界線はあるはず。だから私はこの世の中から差別やいじめがなくなるなんて、決してないと思います。

そして、それは仕方ないことなんです。

それが人間なのだから。

本の内容は、弟の大学入試のお金欲しさに強盗に入って、誤ってそこに住んでいた夫人を殺してしまった兄が獄中から弟に送る手紙と、強盗殺人者の兄を持った弟の波瀾万丈の人生を描いています。もし、私の兄が人殺しで、私に守らなければならないものがあったとしたら、私はどうするだろう…。しかもその人殺しが、もし私の為であったとしたら…。答えは出ない。この小説の終わりに『声が出ない…』と書かれてあったように答えが出ない。

兄が送る弟への手紙。最初はひらがなだらけで、私はどうして、こんなにひらがなばかりなんだろう、と思いましたが兄はもともと勉強が嫌いで、学問は弟に任せて自分は力仕事ばかりしていた為に、学校でほとんど勉強をしていなかったのです。兄は手紙で『おれは馬鹿だ』と何度も書いてますが、本当に馬鹿なら何度も書く手紙の文法や漢字に進歩はないはず。なのに話の終りの頃になると難しい字も漢字で書いて、文章もまとまるようになってくるあたり、もっと違う家庭で生まれていたら、きっと違う人生が待っていただろうに…。そう思うとやはり胸が締め付けられます。
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リベンジアは頭脳で
評価★★★☆☆
著書:シドニィ・シェルダン

概要は『人違い』で妻をころされてしまった夫が単身一人でギャング団にかたき討ちを討っていく内容なのですが、ストーリー的には面白かったのですが…?主人公は妻の敵討ちの為に、悪人同士が同士討ちするように仕向けて行くのです。仲間同士をころし合うように仕向け、その時の銃声を聞いた時は、心の中で妻に『一人、やったよ』とつぶやくんですけど…。この敵討ち、警察に捕まるように仕向けて行ったのなら、まだ面白かったと思います。相手が悪人とはいえ、これは遠隔○人。ちょっと、この辺はいただけませんでした。

それでも途中、ギャングがころされても、主人公は晴れやかな気持ちになれないと書かれてあったのを見て、ホッとしたのもつかの間、晴れやかな気持ちになるのは、仇を全員討ってからだというのです。ああ、そういう意味だったのね…。自分がやってる事に疑問を抱いた訳じゃないのね…。悪党だろうがなんだろうが、命には変わりないんですけどね。

他に、この本で釈然としないのは、この主人公、名の売れたエンジニアで、機械の事にはめっぽう強いらしく、盗聴器などを敵の本拠地に、絶対見つからないよう仕掛けるのですが、よくもまぁ、ギャングの本拠地にこっそりと忍び込めたなぁと思いました。

普通ギャングの本拠地なら、見張りとか、怖〜〜い番犬とかがいそうなものなのですが、そういうのは出てきません。その辺が短編小説のサガというか、そこまで書いてたら、長編になってしまいますからね。それに主人公は器用にピッキングなどで家に忍び込んでいるし。オイオイ、おぬし、本当にエンジニアか?他に本職があるんじゃないか?と突っ込みたくなりましたよ。

最後の場面は、結構ハラハラさせられましたよ。相手のボスに正体がばれて、絶対失敗しないという、ころし屋を3人も放たれたり、それが失敗したら次は爆弾のプロを雇ったり。主人公は、この絶体絶命!!をどうやって、この窮地を脱出するのでしょうか?この辺は、この本の一番面白い所でしたので、興味のある人は自分で読んでみてくださいね。

以下、追加として。ネタばれ程じゃないので隠さずに書きます。『星3つ』の評価はシドニィの作品にしては・・、というニュアンスが含まれます。もし、これが他の無名な作家の作品だったならば、もしかして4つくらい付けてたかも・・?シドニィと言えば【女医】(映画化)や【ゲームの達人】が有名ですよね。他には【明日があるなら】や【億万ドルの舞台】などが私のお勧めです。
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シーラという子


著者:トリイ・ヘイデン

『実話』という事で、昨日の記事とリンクしてます。
著書のトリイ・ヘイデンは児童心理学者で、この作品は特別支援学級の教師をしていた時の実話です。一切フィクションのないこの本の内容には、かなりの衝撃を受けます。もう読んだのが、ずい分前の事になりますので、詳しい内容が詳細に思い出せないのですが、覚えている事を並べると、シーラは母親に捨てられ(弟は母に連れられた)、父親に虐待を受け(それでも愛情を求めていた)、絶対に泣かない子供に育った、という事でしょうか。

衝撃というのは、その虐待や環境の酷さです。

私も母子家庭に育ち、貧困の生活の中、虐待とまではいきませんが、兄にぶたれながら育ちました。家庭の中は決して明るいものではありませんでしたが、それでも私がこうして普通(?)に育ったのは、わずかでも愛情があったからなのだと思います。

しかし、トリイが書いた本に出てくる問題を抱えた子供たちの保護者たちは、ここには、とても書けないような虐待をするのです。あそこまで酷いと、おそらく映画にもドラマにも出来ないでしょう。もし出来たとしたら、それはある程度事実を折り曲げ、虐待の場面を軟らかくしなければしなければならないでしょう。

そのくらい、酷い虐待なのです。

シーラも母親に捨てられた傷を抱えながら、父親からは愛情を得られず、心を折り曲げて泣かない子供に育ちました。そうしなければシーラの心が耐えられなかったのだろうと思います。その殻の固さは、おそらくダイヤモンドよりも硬く、その強さはルビー以上のものだったと思います。そして、もう一つ特記すべき事は、シーラは実は『天才』の粋に達するほどのIQの持ち主だった事です。これを見抜いたトリイは、なんとかシーラの心を開かせ、普通クラスに入れるよう、悪戦苦闘の毎日が始まるのですが・・。果たしてトリイの苦労が報われる日は来るのでしょうか?
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