セーラー服と機関銃【読書】


著者:赤川次郎

お勧め度80%矢印上

娯楽として読むのに最高の1冊でした。

赤川次郎さんといえばシャーロックホームズならぬ、三毛猫ホームズが有名ですが、私の赤川次郎さんの小説デビューは【お手伝いさんはスーパースパイ!】でした。赤川次郎さんが一世風靡をしている頃、洋書ばかり読んでいた私は、『赤川次郎さん』という作家さんの事は知ってましたが、その頃はまだ邦書を読んでみよう、という気にはならなかったのです。

しかし最近、邦書も読むようになり、洋書にはない読みやすさに(登場人物を認識しやすい)驚きながら、日本でも素晴らしい作品があると知り、松本清張さんなど、有名な方々の作品を読み漁っていて、最近になってから昔一斉風靡した赤川次郎さんの本も読んでみようと、ブックオフで初めて手に取ったタイトルが、【お手伝いさんはスーパースパイ!】だったのです。

この【お手伝いさんはスーパースパイ!】に関しては、面白いのは面白かったのですが、事件が単純すぎたと言いますか、最近の凝ったサスペンスになれてしまって、どこか物足りなさを感じてしまいました。とはいえ、これが赤川次郎さんの世界なんだなぁ、と感じ、その後三毛猫ホームズシリーズの1つ【三毛猫ホームズのラプソティー】と他シリーズの【象牙色のクローゼット】を読んで、次はこの【セーラー服と機関銃】を読んだのです。

さて、前置きがえらく長くなってしまいましたが、こうして手にとった【セーラー服と機関銃】ですが、今まで読んだ赤川さんの作品の中で、一番面白かったです。まず、冒頭から、あいくちを突きつけられながら車を運転している尾田医師が登場するのですが、そのような危険な状況なのに、なぜか危険を感じません。そこは赤川さん独特の言い回しが、危険な状況に何かユーモラスなものを感じされられるからだと思います。

それから舞台は悲しみにくれる主人公、星泉(ほしいずみ)へ移ります。そう、泉は突然亡くなった父の火葬場にたたずんでいました。途方にくれる中、それでも泉には哲夫、周平、智生という、泉のためなら命も投げ出す覚悟の心強い味方がいます。あと、政子も。悲しみにくれてばかりではいられない、これからは一人で生きていかなくてはならないのだから・・そう思っていた矢先、亡くなった父の彼女だった言う人が現れたり、突然『遺言だから』と、組長にされたり、果ては盗難事件、殺人事件と続き、ついには父が『運び屋』をやっていた疑惑まで浮上してしまいます。

目高組の組長には成り行き上なったものの、17歳の少女が、持ち前の負けん気の強さと判断力で大人顔負けの行動に胸のすく物語です。最後の方で『太っちょ』に捕まった時は、もうどうなることかと、ハラハラドキドキしどうしでした。それでも弱音を吐かない泉ちゃん、あっぱれです!!佐久間さんは本当に良い人でした。それに比べ浜口は・・最初に少しでも良いとこあるじゃん、と思ってしまったことが悔しいです。

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オーデュボンの祈り【読書】


著者:伊坂幸太郎

総評:★★★★★+AAA

伊坂幸太郎さんのデビュー作。正確には【悪党たちが目にしみる】がサントリー大賞佳作受賞作に輝いたのが最初らしいのですが、こちらはのちに全文改稿され、【陽気なギャングが地球を回す】として発表されました。なので正式に発売された本としてはこの【オーデュボンの祈り】がデビュー作となるのかな?新潮ミステリー倶楽部賞を受賞、審査員たちは『審査をしている』事も忘れ、読みふけったそうです。中には『現実離れしているのでは?』という意見の方もいらしたようですが、そもそも小説とは現実を書くものではなく、夢を追うものだと思います。

なので私は伊坂さんの世界にどっぷり浸かりたいですね。

この本のあらすじですが、主人公の伊藤氏はパソコン関係の仕事を辞め、どこをどう間違えたのか、コンビニ強盗を起こしてしまうのです。しかし、にわか強盗が上手くいくはずもなく、あえなく御用となったわけなんですが、捕まえられた相手の警察が昔の同級生だったのです。と、ここまでだと、その警察官がすごくいい人で、伊藤さんが立ち直る手助けをしてくれるのかと思ったら、すっとこどっこい。この警察官、若いころから人が苦しむのを見るのが喜びを感じる最悪の人間だったのです。つまり、伊藤氏は一番合いたくなかった人物と再開してしまったのです。

なんとかこの最悪の同級生から逃げ出し(世間的には警察から逃げ出した)た伊藤氏は、次に目が覚めた時には『荻島』という孤島の家の中にいました。孤島と言っても、そこには江戸時代より、周りと交流を遮断して暮らす普通の人々がいたのです。普通と言っても、私たちから見ると、とても普通ではない人々が。

まず、一番驚くべきは『喋るカカシ』がいること。

しかも、そのカカシは未来を見ることが出来ると言うのです。皆さんには想像できますか?稲穂の波打つ畑で、鳥たちから稲を守るために立てられている『へのへのもへじ』と顔に書かれたカカシが、未来を語るんですよ?私だったら『どひゃ〜』と腰を抜かしてしまいます。彼の名前は優午(ゆうご)。その優午は伊藤に『自転車をこぎなさい』、『手紙を書きなさい』と言います。いったいどういう事なのか訳も分からず、伊藤は自転車をこぎ、手紙を書くのです。のちにこの事が彼の運命を左右することも知らずに…。

2番目に驚くことは、なんと『殺人を許された男』がいることです。

彼の名前は『桜』。物憂げで、ぱっと見はジャニーズ系の繊細な雰囲気に見える彼。しかし犯罪の現場を目撃したり、相手が犯罪者だと分かると、何のためらいもなく公然と、その手に持つ黒く冷たい物体‐すなわち拳銃の引き金を引くのです。犯罪者の言い訳に対し、「理由になってない」と言いながら。つまりはこの島にいる人たちは、警察官より、この桜を恐れているのです。見つかったら最後、どんな悪者でも逃げる道はないのですから。

他に変わってるところは、この島に伝わる言い伝え。この島には昔っから‐何か足りないもの‐があるらしいのですが、それをいつか『島の外から来た人』が持ってくると言い伝えがあるのです。この島に足りないもの。それはいったいなんなのでしょうか?未来が見える優午にもそれは分からない-正確には理解しにくい‐ものなんだそうです。その足りないものが分かった時、読者たちはどっと喜びと安堵の気持ちに充ち溢れるのだと思います。
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