風が強く吹いている【読書】


著者:三浦しをん

お勧め度80%あげ
読み易さ79%

走(かける)は、その名の通り走るためだけに生まれてきたような少年。その日もコンビニから盗んだパンを持って走っていた。その姿は美しく、無駄がない。颯爽と風をきる音さえ魅了してしまう。そんな走(かける)を見た清瀬は、通りすがりの人に自転車を借りて後追いかけていき、走(かける)にこう尋ねるのでした。

走るの好きか?と。

これが走と清瀬の出会い。これがきっかけで竹青荘(アオタケ荘)の住民を巻き込んだ大騒動が始まるのでした。たった10人で箱根駅伝の予選に参加する、これがどれほど無謀なことなのか、この物語を読み進むうちに分かってくるのですが、一番の理由は補欠がまったくいない状態で挑戦する、と言うことでした。

私も今回、この本を読んで初めて知ったのですが、箱根駅伝というのは、まずあらかじめ決められた(たしか14〜16人だったと思う。間違っていたらごめんなさい)人数を提出し、最終的には実際出場する選手を10人決めるのですが、あらかじめどこのコースを誰が走るのか指定しておかなければなりません。そして一度決めた(提出した)選手のコースは変えられないのです。

この時、人数に余裕があれば(補欠がいれば)試合当日の最終決定で選手の交代を申請することが出来ますし、逆に本当のエースを補欠にしておいて、他の大学の作戦を見極めてエースをどこで走らせるか決める、という作戦も取ることが出来ます。ところが、人数がぴったり10人だと、そういう事が出来ないのです。

そんなややこしい難しいルールの事など知らず、最初は渋っていた竹青荘の面々も、面白半分、興味津々で清瀬の夢に参加することにしたのでした。こうして清瀬の元、走、ジョータとジョージ、キング、神童、ムサ、ニコちゃん、ユキ、王子のユニークな面々のユニークな、しかし厳しい練習生活が始まるのでした。

そしてこの物語はマラソンの練習もさることながら、そのユニークな住民たちの変人、生活ぶりにも注目してほしいと思います。

例えばニコちゃん。彼はニコチンのニコちゃんと呼ばれる程のヘビースモーカーだったのに、マラソンに挑戦することになってから禁煙をします。そしてタバコを吸えないイライラから針金で不気味な人形を何個も作り続けるという変人ぶりを見せ付けていますし、三度の飯より漫画が好きな王子は、甘いマスクを生かすことなく、二次元の女の子にしか興味がないという変人ぶり。

他にもユニークな住人がたくさん・・それぞれの生きざまや、マラソンを走っている時の様子などを楽しんでもらいたいと思います。読み易さを79%にしたのは、走ることに対する専門的な言葉が出てくるからです。インターバルやダッシュなどがそれにあたりますが、もともとスポーツされる方ならなじみのある言葉ですので読みやすいと思います。そうじゃない方も、読みにくい、と言うほどではないので、是非読んでみてほしいと思います。

ランナーが普段、どんな思いで走っているのかよく表現してあり、読み終わってから来年は箱根駅伝を見る目が変わるだろう思いました。それにしても六道大の藤岡はすごい!!スポーツマンの鏡であり、彼のような人物こそ、本当のアスリートと言えるのでしょう。清瀬も藤岡のように風を極めることが出来たはずなのに、悲しい事に体がそれを許さなかった。しかし代わりに清瀬には人を見る力というものを神さまが与えていたのでした。物語が終わった後も清瀬のもと、沢山の若者たちがその才能を開花していくのかと想うと、思わず微笑んでしまう、そんな1冊です。
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