朝霧【読書】


著者:北村薫

お勧め度89%矢印上

北村さんの作品はこれで5冊目になりますが、毎回 心がじんわりと温かくなるお話に嬉しくなってしまいます。今回の作品の中で特にフッと心に入ってきた情景は物語の中盤ぐらいのところで出てくるのですが、主人公の女の子がまだ小さかった頃のエピソードで、お父さんと郵便局に行くお話しが出てくるんですね。

待合室で順番がきて、名前を呼ばれるのを待っている間、お父さんに「大きい車が通ると椅子が揺れるよ」、と言われ、父親に言われたとおり椅子にチョコン、と座る女の子。その時 彼女は(車が通る前に名前を呼ばれたらどうしよう)と緊張します。

ハッとしました。

私だったら、そんな心配はしないからです。名前を呼ばれたら、父親が行けば良いことです。父は既に椅子が揺れる事を知っているのだから、それで私に教えたのだし、だったら私は大きい車が通るまで座っていればいい、そう思うと思うんです。

ところが、この小さな女の子は呼ばれたら一緒に行かないといけないと思っています。(というか不安だから父親にくっついていたいんですね、きっと)、そのくらい小さい頃のエピソードだという事が分かります。そして、そんな小さいころだったら、私もそんな風に感じるだろうな、と思いました。

大きくなったら気にもかけない、ほんの些細な小さい頃のエピソードをこんなに鮮やかに表現できる北村さんは、きっと心が愛に溢れている方なのではないかと想像してしまいます。

そしてその後、車が通って椅子が揺れた時に「ホントだ」と言って無邪気に喜ぶ女の子。忘れていたものが蘇る瞬間でした。

JUGEMテーマ:読書

ストーリーを少し書いておきますと、主人公の女の子はみさき書房に就職が決まり、大学を卒業するところから始まります。

落語が好きで俳句に興味のある、ちょっと変わった女の子(だって普通、若い女の子は落語や俳句に興味持たないですよね)。

会社の人や、同級生ととめどもない話をしてみたり、女か、虎か、と、心の格闘を話してみたり、はたまた落語の題目を検討してみたり…そんな中、おじいちゃんの日記から暗号のような文字を見つけます。漢字ばかりが並んだその文字を読んで女の子は『俳句ではないのか』、と言うところまでは解答したのですが、どの漢字がどういう読み方になるか分からなくなりお手上げ。

そして落語家の円紫さんに助けを求め、答えを見つけ出します。

美しい言葉、日本語。

親が子供を想う心。

子が親を想う心。

この物語の中に詰め込んだ愛を感じてほしいと思います。
心暖かくなる物語 | comments(0) | trackbacks(0)
entry_bottom
Comment
コメントする









entry_bottom
Trackback
この記事のトラックバックURL
http://heart.hime-non.moo.jp/trackback/115
TRACKBACK BOTTOM
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< July 2018 >>
recent_entry
archives
RECENT COMMENT
RECENT TRACKBACK
LINK
PROFILE
MOBILE
qrcode
ワーナー・マイカル
あらしのよるに 〜ひみつのともだち〜 シアターセレクション
タグふれんず♪
いつもありがとう♪

ネコもアフィリエイト♪ リンクシェア・ジャパンのレビューアフィリエイトで報酬をもらおう
search