シートン探偵動物記【読書】


著者:柳宏司

お勧め度85%
読み易さ80%

実は知らなかったのですが、シートン動物記という実在の書物があって、この物語はその本の著者をモデルにして書かれています。もっとも、この原本を読んだことがないので、実際にどのような人物がこのシートン動物記の著者なのか、私には知る由もないのですが、このシートン探偵物語を読む限り、外国番、むつごろうさんって感じ。

さて、物語の内容ですが、主人公はシートン氏、というより、新聞記者の方のようです。というのも、読み終わって気が付いたのですが、この新聞記者の目線から物語が描かれており、新聞記者の名前は「私」という言葉で伏せられてしまっていたからです。しかも、シートン氏も彼の事を名前で呼ぶことはなく、細い目でいたずらっぽい笑みを浮かべて見つめているだけなんですから。

前置きが長くなりましたが、2人の最初の出会いは遠い昔、新聞記者がまだ小さかった頃にシートン氏の動物記を読んでいた、愛読家だった事から始まります。しかもただの愛読家ではなく、シートン氏の本を、何度も何度も読み返し、シートン氏が本当に感じてほしかった深い所に気が付いた数少ない少年だったのです。

その少年が大きくなり、偶然にも小さい頃愛読していた本の著者のインタビューを受け持つことになり、シートン氏との対談によって、昔シートン氏と動物たちが繰り広げたミステリーの物語が始まったのです。

『カランポーの悪魔』
狼のお話。狼の側に立ったら、確かにオオカミは生きるため、家族を飢えから守るために狩りをしてるだけなんですよね。そして最後のどんでん返し。牛を百頭殺したって言うのも、オオカミじゃなくて、人間の仕業な気がします。

『銀の星』
カラスのお話。カラスは本当に頭いいよね。物語とは関係ないけど、私は一度本物のカラスの『イジメ?』を見た事あります。道の真ん中で、大きな黒い塊があって、私は車で走っていたんだけど、なんだろう?と思って減速してその黒い塊に近付いていったら、車の気配を感じた3羽くらいの黒いカラスが飛び立っていきました。そしてあとに残されたのが1羽のカラス。別段怪我をした様子もなく飛び去って行きましたが、あれだけの人数(?)羽数(?)で囲んでいたのですから、やはり井戸端会議だったとは考えにくく、ルール違反をした仲間に、しつけをしていたとしか考えられないんですよね。あんな恐ろしい姿をしてるけど、実は中身は東大の医学生並み?

『森の旗』
リスのお話。このエピソードには物語とは関係ない話しで、老婦人をある若者が無言で何度も泥の中に突き飛ばす、という事件の話しが出てくるのですが、実はその話が、私はこの本の中で一番印象に残ったのです。

というのも、おそらく著者もこれが一番言いたいのかな?と思ったからです。それは1つの出来事を片方からだけ見るな、という事です。この、老婦人をある若者が無言で何度も泥の中に突き飛ばすという事件も、それだけを見れば(あるいは聞けば)、この若者が理由もなく、老婦人をいたぶって面白がってるように聞こえるかもしれませんが、もし、老婦人を突き飛ばす、何か理由があったとしたら?やはりあらゆる出来事を柔軟に判断するには動物並みの臨機応変さが必要な気がします。

『牛小屋密室とナマズのジョー』
シートン氏は小さい時から観察力が凄かった、お話。

『ロイヤル・アナロスタン失踪事件』
愛おしい、ネコのお話し。ネコの漢字は『猫』と書きますが、私はこの漢字が許せません。だってあなた、獣ですよ、ケモノ編。ねこの、どこがどのようにケモノだって、おっしゃるんですか?あの、高貴ななき声。人の心を掴んで離さない仕草、その癖、獲物を追う時の美しい筋肉の動き。昼寝をするときの寝顔。魚の匂いを嗅ぎつけた時のキラキラ輝く瞳。どこをどうとったら『ケモノ』なんて言えるんでしょ!おや?アダムス夫人、あなたもそうお思いになりますこと?そうですわよね〜おほほほ。

『三人の秘書官』
人の本性が見えた時ほど悲しいものはありませんね。

『熊王ジャック』
熊も時には四足ではなく二本足で立ち、前足を器用に使うところを見ると、人間やサルに続く頭のよい動物の1人(?)なのかもしれませんね。

最後に『森の旗』の中に出てきた、一番好きな文章を引用します。以下本文より。

「ねえ、あなた。想像してもごらんなさい。このアメリカ(地球)では、およそ木の実がなる森の木は、事実上、すべてハイイロリスかその仲間たちによって植えられたものなのです。かれらは木の実を地面を掘って蓄える。その九十五パーセントはかれら自身のものですが、残りの五パーセントの木の実はリスたちが食べることなくそのまま放置され、それらはやがて芽を吹き、森に育っていくのです。もしリスたちが木の実を地面に埋めなければ、森は育ちません。かれらがいなければ、アメリカ(地球上)に森は存在しないのです。あのちっぽけなリスたちが、この広大なアメリカ(地球)のすべての森を作っているというのは、なんとも痛快な話じゃありませんか」―シートン氏談
ユニークな物語 | comments(0) | trackbacks(0)
entry_bottom
Comment
コメントする









entry_bottom
Trackback
この記事のトラックバックURL
http://heart.hime-non.moo.jp/trackback/297
TRACKBACK BOTTOM
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< June 2018 >>
recent_entry
archives
RECENT COMMENT
RECENT TRACKBACK
LINK
PROFILE
MOBILE
qrcode
ワーナー・マイカル
あらしのよるに 〜ひみつのともだち〜 シアターセレクション
タグふれんず♪
いつもありがとう♪

ネコもアフィリエイト♪ リンクシェア・ジャパンのレビューアフィリエイトで報酬をもらおう
search