鳥人計画【読書】


著者:東野圭吾

総評:★★★★★+

これで東野圭吾さんの小説は4冊目だと思うのですが、そのたびに驚かされるのは、それぞれの小説の中の専門知識です。【手紙】の時は裁判のやり取りや、手紙に裁判所の刻印が貼ってある事や刑務所の中の雰囲気、【天空の蜂】の時は原発の知識はもちろん、その仕組みや過去に起こった原発事故の原因、さらにはヘリコプターの専門知識まで…本当によく調べて書かれてるなぁ、と感心してしまいます。そして今回の物語のテーマは、ズバリ科学とスポーツの限界…と言えば分かりやすいでしょうか?スポーツというのはスキージャンプなのですが、私も小さい頃は、スキージャンプをテレビで見た夜は、よく夢を見ました。

その頃は『飛ぶ』という事に技術が要る、などという事はもちろん知らず、『サッツ』(踏み込み)や膝の曲がる角度、更にはどのくらいで曲げるとか、曲がるとか、そういった細かい事まで分析するなどとは『夢』にも思わず、小学校の構内にある遊び場で、本当の『夢』の中であり得ないほど気持ちよく飛んだものです。

そして物語の内容ですがプロローグのあと、楡井明という天才的なスキージャンパーが殺される事件から始まります。殺された楡井選手は、天真爛漫で、明るく、あまり物事を深く考えないタイプ。その才能をひがむ人は居たかもしれないけど、殺したくなるような、自分の才能をひけらかす性格ではなかったようです。ではなぜ彼は殺されてしまったのか?実は物語の冒頭から『犯人』は存在したのですが、それにしては何か引っかかるのです。それは毒薬を飲ませて死に至るまでの時間差です。その差があるものだから、佐久間刑事はずっとひっかっていたようです。

犯人は誰だったのか、その動機などは本を読んで頂きたいのですが、ここではちょっとだけヒントというか、杉江社長の執念とも思える我が息子にかける思いを書いておこうと思います。杉江社長というのは、若いころ自身もスキージャンパーで、割と名の知れた選手だったようです。そして自分は引退し、結婚して2人の子供を授かりました。その2人の子供のうち、男の子-翔選手に、自分が果たせなかった世界一のジャンパーに育てるため、サイバードシステムという、途方もないトレーニングマシーンを作るのです。このマシーンは、コンピューターで制御されていて、簡単に言うと『正しい飛び方』をしないと、とてつもなく不快な音が発生するというシステムのものでした。このシステムを作るだけの為のに、3人のスキージャンパーと生涯契約をしたり、自分の娘まで使って楡井選手を利用したりしていたのです。

さらに、過去の3人のジャンパーの中の一人は、突然事故死をしているなど、不審な点が満載。いったい、サイバーシステムの真の恐ろしさとは?人間はいったいどこまでが科学とスポーツの融合が許されるか。その境目はどこなのか。現在は『ドーピング』というのは明らかに禁止されています。オリンピックなんかで、メダル獲得選手があとからドーピングをしていたのがばれて繰り上げで他の選手がメダルを与えられることは最近では珍しいことではなくなってきました。この物語の中では、こういった人間のモラルのような事が書いてありますので、その辺を踏まえて読むと楽しめるというか、一層深く読めるのではないかと思います。
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