オーデュボンの祈り【読書】


著者:伊坂幸太郎

総評:★★★★★+AAA

伊坂幸太郎さんのデビュー作。正確には【悪党たちが目にしみる】がサントリー大賞佳作受賞作に輝いたのが最初らしいのですが、こちらはのちに全文改稿され、【陽気なギャングが地球を回す】として発表されました。なので正式に発売された本としてはこの【オーデュボンの祈り】がデビュー作となるのかな?新潮ミステリー倶楽部賞を受賞、審査員たちは『審査をしている』事も忘れ、読みふけったそうです。中には『現実離れしているのでは?』という意見の方もいらしたようですが、そもそも小説とは現実を書くものではなく、夢を追うものだと思います。

なので私は伊坂さんの世界にどっぷり浸かりたいですね。

この本のあらすじですが、主人公の伊藤氏はパソコン関係の仕事を辞め、どこをどう間違えたのか、コンビニ強盗を起こしてしまうのです。しかし、にわか強盗が上手くいくはずもなく、あえなく御用となったわけなんですが、捕まえられた相手の警察が昔の同級生だったのです。と、ここまでだと、その警察官がすごくいい人で、伊藤さんが立ち直る手助けをしてくれるのかと思ったら、すっとこどっこい。この警察官、若いころから人が苦しむのを見るのが喜びを感じる最悪の人間だったのです。つまり、伊藤氏は一番合いたくなかった人物と再開してしまったのです。

なんとかこの最悪の同級生から逃げ出し(世間的には警察から逃げ出した)た伊藤氏は、次に目が覚めた時には『荻島』という孤島の家の中にいました。孤島と言っても、そこには江戸時代より、周りと交流を遮断して暮らす普通の人々がいたのです。普通と言っても、私たちから見ると、とても普通ではない人々が。

まず、一番驚くべきは『喋るカカシ』がいること。

しかも、そのカカシは未来を見ることが出来ると言うのです。皆さんには想像できますか?稲穂の波打つ畑で、鳥たちから稲を守るために立てられている『へのへのもへじ』と顔に書かれたカカシが、未来を語るんですよ?私だったら『どひゃ〜』と腰を抜かしてしまいます。彼の名前は優午(ゆうご)。その優午は伊藤に『自転車をこぎなさい』、『手紙を書きなさい』と言います。いったいどういう事なのか訳も分からず、伊藤は自転車をこぎ、手紙を書くのです。のちにこの事が彼の運命を左右することも知らずに…。

2番目に驚くことは、なんと『殺人を許された男』がいることです。

彼の名前は『桜』。物憂げで、ぱっと見はジャニーズ系の繊細な雰囲気に見える彼。しかし犯罪の現場を目撃したり、相手が犯罪者だと分かると、何のためらいもなく公然と、その手に持つ黒く冷たい物体‐すなわち拳銃の引き金を引くのです。犯罪者の言い訳に対し、「理由になってない」と言いながら。つまりはこの島にいる人たちは、警察官より、この桜を恐れているのです。見つかったら最後、どんな悪者でも逃げる道はないのですから。

他に変わってるところは、この島に伝わる言い伝え。この島には昔っから‐何か足りないもの‐があるらしいのですが、それをいつか『島の外から来た人』が持ってくると言い伝えがあるのです。この島に足りないもの。それはいったいなんなのでしょうか?未来が見える優午にもそれは分からない-正確には理解しにくい‐ものなんだそうです。その足りないものが分かった時、読者たちはどっと喜びと安堵の気持ちに充ち溢れるのだと思います。
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